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2011年新譜 私的ベストラインナップ [回想日記]

 扨て、今年もこういう話題の季節がやって参りました。まぁどーせ夜郎自大な左近治の戯れ言にわざわざお付き合いいただかなくともとは重々承知なんですが、まあお暇でしたらお読みになっていただければな、と(笑)。


 かねてからボヤいているように、2011年の新譜は私にとっては不作の年だったのかもしれません。まあ例年よりも入手する新譜が減少していたのは確かですし、アルバム入手数も例年の6割程度でした。そうした背景があって振り返ってみると、私が手に入れる新譜に、必ずしもiPodの4ツ星or5ツ星に匹敵する曲が収録されていないというコトに気付くワケです(笑)。少なくとも私にとってのiPod星4、5というのは、いつ聴いても色褪せるコトのない稀代の名曲でありまして、5ツ星というのはそうした曲の中でも本当に秀でたモノを入れているワケであります。

 私自身の音楽嗜好性が変化しているワケではありませんが、たとえば曲を作るにあたっての動機付けに乏しい人というのは、いわゆる縦軸系のコード・サウンドというのを頭ン中で延々とネタが出て来るまで揺さぶりながら苦悩して作っている感があるように感じるんですが、そういう行動にすら疲弊してしまっているような人達が多すぎると(作業に溺れていることすら疲れている)、それについて感じる事は、今やどんな音楽ジャンルにおいても「端折った感」が珍しくないモノでして、方法論や凭れ掛かりたくなる和声など「どうせそっちに行こうとしてんだろ」みたいに先が読めるものがあまりに多いワケですよ。

 例えばDJ系にしたって、楽理的な背景に頓着することなく気に入った「ネタ」を使う。こうした方法論から概ねどういうコード進行がそうしたシーンで重宝されるのかは判っているんですが、そーゆー畑から散々使われているモノだから、ネタが少ないジャンルは方法論が形骸化されている所に加えてさらにネタが枯渇化してしまっているような状況なんですな。だから使い古された手法を幾度も味わわされる。
 メロディにおいても音程跳躍が近接的なモノが多いし、ネタに困って近親性の高い調域選んで転調繰り返していたりとか(笑)。もうそれしか手は無いんかい!?みたいに嘆かわしいんですが、これからオトナの階段昇る人達にとっては新しいボキャブラリーなもんでしょうから何故かウケていたり、まあ昨今の音楽事情なんでそんなモンですわ(笑)。

 幼少の時のように器楽的経験が豊かではなくとも(経験豊かな幼児も勿論存在します)耳から得ている情報は意外に多いもので、何度か耳にしているだけで「ジャズっぽい」とか「演歌っぽい」とか皮相的にではあれども印象を抱くことはあるもので、年齢が成熟してくれば音楽にどれほど疎かろうとも色んな音楽を耳にしているワケでして、皮相的にしか理解していないのになんちゃって批評家気取りで自分の好みをアレコレ言えるようになってしまうのも音楽のキャッチーな所をきちんと聞き分けているから他ならないワケです。


 そうしたキャッチーさは感性が伴うのに、いざ本質を語ろうとするとロクなコトを言えない人が多い(笑)。つまり、感性的な事すら無自覚だから当てずっぽうになりがちで、本当なら真砂の数ほどある音楽からきちんと選別してこそナンボなんですが、音楽では音そのものが真の上情報であるにも関わらず、耳にしても居ないのに今やネットや本の誰かしらの感想やらを頼りにして、肝心の音の情報は二の次で動機を探ることが昔よりも顕著なのが現在のリスナーなんです。そうしたリスナーに迎合するのではなく地に足着いた音楽とやらをきちんと聴くという行動だけは守って行きたいな、と。その上での手前勝手なランキングなんですわ。ま、そんなワケで以下にまとめてみるコトに。


5位 The Kind You Can't Afford / Madeleine Peyroux / Standing on the Rooftop
4位 Crazy Clock / Azymuth / Aurora
3位 I am (報道ステーションオープニング曲) / Manami Morita / I am
2位 Summer in New York / Michael Franks / Time Together
1位 One Day in St. Tropez/ Michael Franks / Time Together


 アルバムは全部でたったの4作品しか挙げてはいませんが、勿論2011年の新譜として入手しているのは他にもあります。しかしながら新譜に必ず名作が入っているというワケでもなく、「so so」な感じで、いわゆるイマドキな感じで言えば「フツーの」出来は結構あると思うんですよ(余談ですが、カタカナで「フツー」と書かれた場合、絶対「中の下」的な少し悪い感じが入ってような印象を個人的には覚えていますが、私自身は今回は本当に「中立」の意味で使っています)。
 
 今回共通するキーワードは「懐かしさ」。十六進数でアラサーの親父がノスタルジーに浸ってるだけやん!と思われてしまうのかもしれませんが、懐かしさを感じさせてくれる&質の高さを見せつけてくれるという懐かしさならイイんですよ。その懐かしさを演出するためにあざとく形骸化された方法論をそのまんま使って来るような安いモノは絶対ランキングさせていないのが私の心情でしょうか(笑)。懐かしさを感じさせる一方で異端なほどに刺々しく、且つ新鮮。まあ、キュウリのトゲみたいな作品に出会してこそナンボなんですが、2年前ならエリザベス・シェパードに代表されるんですが流石にそこまでの作品には遭遇することはありませんでした。
 それでも自分のiPodに4ツ5ツ星に出来る作品が今回のランキングというコトなワケです。わざわざ自分のハードルまで下げる必要はないワケでして(笑)。CM曲みたいなモノでしたらキャッチーなのが好きですけどね(笑)。プリントパックみたいな(笑)。


 懐かしさを知るに当たって、例えば、未知なる物との遭遇なのに懐かしさを感じるデジャヴな感覚というのは多感な時期に、特に若い時期に経験するコトが多いと思うんですが、人生の経験としては充分に浅い筈なのに彼らは時間を太く濃密に生きている。だからこそ、太くエネルギッシュに生きている所にポツンとタイムスリップさせてくれるかのような副交感神経を寛がせる感覚を持っている作品こそが彼らにとっての邂逅であり郷愁に置換されていると思うんですよ。そこに物理的に知ることのできない昔を、自分の知識に投影して疑似体験するというか。若い人がリアルタイムにビートルズやウッドストックを知らずともそうしたシーンを知るというコトにも似ていると言いますか。
 そんな世代に向けてもきっと「懐かしく」且つ新鮮さを持っている作品を今回選んでいるというワケでして、ただ単に私の個人的な嗜好を押し付けているワケでもありません(笑)。全体的に見てもマイケル・フランクスの「Summer in New York」の高次な和声を用いている事を除けばハイパーな世界観は少ないのも事実ですが、総じてハイパーな和声の世界観しか好む私でもありませんので、楽曲総てがそうしたハイパーな和声に須く収斂するように言っているワケではありません(笑)。


M_Peyroux_sort.jpg「The Kind You Can't Afford」・・・私、個人的にはかねてからマデリン・ペルーという呼び方には抵抗感がありまして、本当ならマドレーヌ・ペイルゥというような呼び名が相応しいと思っていますが、仕方なくマデリン・ペルーと呼び方を統一させていただきます(笑)。今作のベースはミシェル・ンデゲオチェロを起用。とはいえブリブリに弾くのではなくアルバム全体がスワンピーでアシッドなフォークロアというか、まあ昔のAORの原型みたいな世界観を演出しているワケでして、R&B系のベースは全然弾いてませんよ(笑)。※奇しくもミシェル・ンデゲオチェロも2011年に新作をリリースしておりますがいわずもがな。

 ンデゲオチェロ目当てで聴くのは面食らうと思います(笑)。勿論ベースの腕は流石ですが、この曲の良さはなんと言っても初期スティーリー・ダンを好む人なら間違いなく受け入れるであろう、先のAORの原型とすべく世界観がプンプン匂って来るワケですな。しかもそこに女声が加わる。なんていうんですかね。恋人というパートナーの存在が自分自身を高めてくれている時に、必ずしもパートナーと一緒にいるワケでもなくその安心から生じる自分の立ち居振る舞いがビシッ!と律している時ってあるじゃないですか。ひとりでいてもその安心感から来る充実感と格好良さ、みたいな。

「今日はひとりで居たいのに私の彼氏と来たらどうしていつも会いたがるんだろう」とお思いの人も多いかと思うんですが、ひとりの充実感を吟味しながらこうしたカッコイイ音楽をかけていると、素朴な在り方とか、何処に寛ぎのピークを持ってくればイイのか!?という尺度が曲を通じて判るような、各バースのリフが生活感に溢れながら忍び込んで来るような曲なんですよ。本当なら男ではなく女性に聴いてほしい曲ですな。
 私は男なので連想するシーンは違いますが、パートナーのメイク中に側で何をしているワケでもない、ビューラーですら最初は「睫毛バサミ」と呼んでいた私がいつしか化粧に興味を持つのではなく、そのパートナーの頓着する時間を共有する事に寛ぎを覚えるような感覚がこの曲には溢れているとでも言いますか、身構えることなく敵に背を向けるワケでもない女性が寛ぎながらも美を追求するようなシーンにこういう音楽はあってほしいと思わんばかりです。


aurora_azymuth.jpg『Crazy Clock」・・・ブリッジのクロスオーバー感やリフ系のAパターンは判りやすいリフなんですが、そのリズミックなパターンのそれが何処となく当時の西海岸系('77年以前)の音っぽさがあって非常にイイんですな。懐かしさを感じるのはある意味全ての線曲に共通して言えるコトでもあるんですが、今回(2011年)のランキングとしては「良い意味」での懐かしさとして受け止めていただきたいワケですな。総じてアジムスの今作はだいぶ難解なハーモニーを削ぎ落としてはいるようですが、やたらとキャッチーなメロディに食い付かせるかのようなマネもしておらず、Fly Over The Horizonのような判りやすさを求めてしまう勘違い系の人達に迎合しない作りにしているのは評価したい所です。ですが、冒頭の1曲目はだいぶ寄り添った感も否めなくはないんですけどね(笑)。

 
manami_morita_i_am.jpg「I am 」・・・扨て、これは平日ほぼ毎日聴いております報道ステーションオープニング曲です。最初聴いた時(春先)はラヴェルのピアノ協奏曲ト長調を思わせるかのような流麗な感じとビル・エヴァンス風のジャズ・ワルツに持って行きそうで行かないハチロクがジャズ・ロックを知る世代へ懐かしさを感じさせてくれるモンです。寛ぎ感と良い夢が見れそうな希望溢れる感じが伝わってきます。

 で、ジングルに聞き惚れ乍らいつしか本作品を手にしてみると、調域の選び方がJe Te Veuxにも似た所を感じさせると言いますか。その巧みな調域の選び方は対位的な方角へも持って行くことができそうな発展性を備えていて、伸びやかな感じはこうして演出されているのだな、と思いました。ハノンを学び終えた人には恰好の練習材料となるかもしれません。で、この曲はかれこれ1年近く経過しようとしていますがいまだに新鮮味は損なわれておりません。
 特に報道ステーションという番組オープニングタイトル曲となるとそう頻繁に変わりませんから飽きられる要素があるとマズイのでありまして、風化されることなく耳に馴染んでいるのはやはりツカミとしても十二分なほど音楽的にも番組タイトルとしての在り方としても機能しているワケですな。



timetogether_MichaelFranks.jpg「Summer in New York」・・・この曲はペレアスの和声を包含しているというコトも含めて昨年は散々楽理的側面で熱く語っていた為、これだけプッシュしている曲なら間違いなく1位だろうと思われていた方も多いとは思いますが決して私にとっての1位ではありません。勿論イイ曲には間違いないんですけどね。まあ楽曲構造においてこの曲に関して今更アレコレ語るのは無粋でありましょう。一体どれほどの文字数を用意したコトでしょうか(笑)。まあしかし、この曲におけるペレアスの和声に遭遇するまでの執拗なまでのベースの半音クリシェの連続(3つのマクロ的なモチーフから半音クリシェが始まります)がペレアスとの遭遇までの優しい移ろいを感じさせます。垂直方向の和声的な音構造において半音音程が連続する構造(根音、長七度、増六度)を知らしめてくれるとても良い材料です。これとセットに高橋ユキヒロのアルバム「サラヴァ!」に収録の坂本龍一作曲の「エラスティック・ダミー」のイントロを聴けば、その手の和声の魅力が存分に伝わると信じてやみません。


「One Day in St. Tropez」・・・さりげなくメロディック・マイナーの世界に「旋法的」に移ろうピアノのモチーフが素晴らしいですね。それでいて強固にトニック方向を感じさせるワケでもなく、ベタな感じでアホでもトニック方向を判らせるかのような表現はしていない所に多くの移ろい感を演出させているのでイイですね。例えばコレが「アントニオの唄」ですと、強固にトニック方向に対して強いコントラストを感じるのに九度のメロディ・ノートに対する音の方角というのは、涙を流しているにも関わらずその目を直視させないかのような、亦は「ごめんなさい」を素直に言う事のできないもどかしさを感じさせたりする演出を感じ取ったりするモノなんですが、つまり、ベッタベタな短調(導音が強く働いた上での)においてメロディが9thに向くのは、すっごく「もう少し素直になれよ」的なあざとさを感じるワケですが、ソコが絶妙だったりもするワケです(笑)。

 しかし、その両者の(トニックと九度)という相関関係の技法に耳慣れてしまうと、その手の演出すらベタな手法として飽きてしまう所があったりします。それと同じ手法にならないように今度は経過的にモード・チェンジを忍ばせてメロディック・マイナー感をそっと忍ばせているのが絶妙なんですな。但し、もしこの曲にピアノを入れないイントロからスタートしたら和声感はもっと希薄になってしまい多くの人には、アンカーとなる調性への「凭れ掛かり処」を見失わせてしまいがちなので返って難しいモノにさせてしまうでしょう。そういう意味でもこのアンサンブルによるイントロの在り方というのはのっけから成功していると思います。バランス感覚に溢れていてのっけからツカミもオッケー牧場なんですな(笑)。
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