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あらためて譜例を確認 [サウンド解析]

 先日アップしたサンプル曲の譜例でも用意し乍ら気軽に語ってみようかと思い立った理由は、「多調的空間」の世界というのは、調的な社会の仕来りに巧いコト捕捉されぬようにして成立している様な世界なので、調的社会に慣れてしまっている未習熟な耳だと、実際に耳にしても本当の良さを捉えきれない所があって、言うなれば子供が利き酒するようなモノでして、それを楽理面で白日の下に晒した所で大概の連中は理論面ばかりに頭デッカチになってしまうのが関の山。だからこうして肩の力を抜いてハイパーな和声を実は忍ばせたサンプルでも耳にするのもイイのではないかと思っての事なワケであります。


 先日アップした曲なのでご存知の方も多いのではないかと思いますし、この曲を初めてバンドでやったのはApple初のPowerBookシリーズ(100・140・170)が出た時だったので、日本のどこかにはこの曲を知っている者が数人は居るかと思います(笑)。

keyboard_bass.jpg
 まあ、そういう昔の曲をあらためて披露しているワケでありますが、私の鍵盤技術というのは我流でありまして、且つ打ち込み時は半テンポで入力しているので、実際のテンポで譜例通りには演奏出来ないチキン野郎でもあるため「こんなの実際弾けねーよ!」などと思われる所もあるかもしれませんが(笑)、基本的に私は左手が大きいのもあるのか、左手オクターヴの運指は通常なら小指と親指で打鍵するでありましょうが、私の場合は9度や10度の音程跳躍を視野に入れた左手がデフォルトとなっているので、例えば3小節目の4拍目から4小節目の1拍目の左手の運指など、おそらく難儀するのではないかと思います。小指と人差し指でオクターヴという運指が必要になってくるかと思いますので注意が必要かもしれません。他にもそうした特異な運指があるかもしれませんが、2小節目&6小節目の右手パートのそれぞれ4拍目の8分付点は実際には8分音符の音価で充分かと思います。小節数のカウントは勿論弱起を除いている解説なのでご注意を。


 なお、キーボードの両手パートの下段にベース・パートを載せておりますが、お判りのようにベースの表記は実際の音よりも1オクターヴ高く表記します。これはギターも同様なのですが、1オクターヴ高く記載することによって、最終小節のトゥッティでは、キーボードの左手の最低音とベースが二度でぶつかっている様に映ります。これはパッと見だと、2ndベースの体「GbM7aug (on Ab)」をベースがAbを弾き損じてGbを弾いてしまっているかのように思われるかもしれませんが、実際には「当時は」確かにこうした私のミスから発生したモノなんですが、キーボードだけが左手に九度音持って来るのもアリだなー、というハナシになってこうした演奏になったのがキッカケです。ベースだけがこのトゥッティにおいてAb - Gbという風に動くとパティトゥッチの解釈のようになったりするんで(パティトゥッチの1stソロアルバム収録の「Baja Bajo」参考)、バンドでやっていた時は多様な解釈で演奏していたモノですが、今回の譜例も間違いではありませんのでその辺りをご理解いただけると有り難いかな、と。


 こうしたリフにはおそらく半音の行き交いによる変化が大きいため、元の根幹となるFとGb周辺の情緒が作用してある程度の半音の揺さぶりにも耳は未習熟でも付いて来ると思うのでありますが、漠然と聞き流す事なく各拍を目一杯大きな時間として捉えて和声を掴み取る様な感じで聴いていただくと、こうした和声の魅力というものをあらためて認識できるのではないかと信じてやみません。この手の和声に慣れると、例えば過去の数々のジャズ・ロック系統やらカンタベリー系やら近年ではウォルター・ベッカーやらレニー・ホワイトやらエリザベス・シェバードやらマイケル・フランクスやらが用いた「ハイパーな和声」というモノがあらためてよく理解できるかと思います。


 この手の和声は近年のブームなのか!?という問いに対して答はノーですが、ある意味ではイエスとも言えるでしょう。こうした特異な和声は確かに一昔・二昔前と比較すると顕著に耳にするようになっていますが、通常の調的枠組みの世界に多くの人がお腹一杯の状況が齎した欲求だとも言えると思います。

 勿論大衆の耳など漠然としていて、明確にハイパーな和声を欲していたりするワケでもないのですが、満腹状態と他の違ったモノを欲する漠然とした感覚だけは有している筈なんですが、そこは作者側もそれ以上に敏感に察知していると思われ、多調的空間の方面の和声の魅力が再認識される様になった事だけは確かでありましょう。なにはともあれこうした和声をキッカケ程度にして耳に馴染んでいただければなと思う今日この頃。

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