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5連符の実際 [YMO関連]

 少し前に当ブログにて、1拍5連符の応用例として他の符割との違いをベースのフレーズにて紹介した事がありましたが、その前にもヴィニー・カリウタを例に挙げたりして不定期乍ら左近治は5連符ネタを扱っておりますので、興味のある方は今一度ブログ内検索をかけてお読みいただけると助かるワケですが、5連符というものは実に奥深いからこそついついこうして注視してしまうワケなんですな。


 5連符というモノは、特に1拍5連という符割の場合はシャッフルの曲との相性が非常に良いものとしても知られております。仮に1拍3連と1拍5連を交互に演奏した場合、2拍で見ると8つの音なので「そんな厄介な事するヒマあったら16分音符連ねりゃイイやん!?」と言う人もいるかもしれませんが、リズム体得の練習において1拍3連と16分音符を各拍交互に演奏したりすることはあるかと思いますが、1拍5連においてもそうしたメリハリの違いがあるからこそ必要なモノなのですが、背景がシャッフルのビートを刻んでいる時の1拍3連と1拍5連の交互の演奏は、1拍3連と16分音符(≒ハチロクおよび12/8拍子の時の4連符)の交互の演奏の時の継ぎ接ぎ感は非常に少なく、これがかなりスムーズに溶け込むモノなんです。しかも1拍5連の細分化は1拍6連とも違うメリハリを備えていてかなり心地良く決まるモノです。


taianyoukou.jpg 1拍5連の魅力というのはシャッフルに溶け込み乍らも、実はその体得具合が深まると、土着なビートに発展させる事も可能なのです。例えば、細野晴臣のYMO結成前のソロ・アルバム「泰安洋行」収録の「蝶々San」という曲での林立夫のドラムに依る非常に土着なビートのそれは嘗て何処かの紙上に於いて「8ビートとシャッフルの中間の様なビート」と形容されたモノです(細野晴臣 OMNI SOUNDにおいて鴨宮諒と高橋竜一がクロニクル3の74~76頁において詳悉に述べているので興味のある方はそちらをどうぞ)。まあ、それほど形容し難くも心揺さぶる微妙な味わいのビートなワケですが、実は林立夫のビートは5連符を意識すると簡単に体得できるという事を述べたいワケなんですね、実は。


 私自身、蝶々Sanのどこかずんぐりとし乍らも躓きそうで躓かなくてしかも足取りのしっかりした土着感タップリのビートは、一体どういう意識で叩けばこういうビート感を備えられるモノなのか!?と非常に頭を悩ませた事がありましたが、軈て5連符を体得してくるとこの蝶々Sanの謎が解けるようになったというワケです。


 シャッフルというのはある音を3つに細分化した時の1と3のスウィングではありますが、実際には3の位置というのは結構曖昧でして、きっかり3の位置に当て嵌まるのは、ほんの短期間80年代終わりから90年代初頭にかけて少しだけ流行ったニュー・ジャック・スウィング位でしかお目にかかれないかと思うんですが、本当の意味できっかり3等分のビートを刻んでいるのではなくかなりルーズで、しかもシャッフルの「ケツ」は少し前のめりで突っ込んだ演奏が殆どなワケですね。


bba.jpg 完全に平滑化されているワケでもないのに音の強弱とケツの音の前のめりによって錯覚的な平滑化に聴こえさせる事も可能で、ベースのフレーズではティム・ボガートのシャッフルのグルーヴは顕著で実にカッコイイものです。BB&Aのスタジオ・アルバム収録の「Livin' Alone」でのティム・ボガートのシャッフル・ビートは後世に伝えたい程の特筆すべきビートです。余談ですがティム・ボガートはスラップをさせてもとんでもない速弾きをするモノでして、それこそヴィクター・ウッテン顔負けな位のサムピングの高速アップダウンとか決め込んじゃう人なので演奏技術においても実はかなり手広いのであります(笑)。


 扨て、1拍5連として見立てた「蝶々San」のリズムは一体どういうモノなのか!?というと5連符のアタマと4つ目がポイントとなるワケですね。どことなく「鈍」(=なまくら)感のある鈍った8ビートっぽさも備え乍らシャッフルっぽくも聴こえるというソレ。今回デモを用意したのでMP3のサンプルを聴いていただければ、あざとく5連符を用いているのでそれが1拍5連だと直ぐに認識できると思いますが、一応ハットの音に耳を凝らして聴いていただければ、鈍らな8分の裏っぽい感じとかお判りになるかと思います(笑)。しかし時にはシャッフルにも聴こえるそれが大事ですので注意して聴いてみて下さい。

ChouChouSan.jpg
 ちなみに蝶々Sanのビートは譜例にするとこんな感じですが、曲中ではスネアのロールのシズル感を強調してビートを細かく遊んでいて、1拍10連の後ろ4つとか、半拍6連の断片4つとか出て来るのは5連符の音価が付点16分音符の音価に近しいからこそこうした近しい符割の細かい多彩な演奏が聴く事ができるのだと思います。


 蝶々Sanの原曲のドラムはハットは刻まれておらず、おそらくスティック・ワークを空振りさせる事でこうした5連のビートは刻みやすいのではないかと思いましてあらためて譜例にしてみる事にしました。原曲だとハットを刻んでいないのでどうやって巧いこと5連のビートを体得するのかを考えると、次の様な刻み方が手っ取り早い方法のひとつかと思いましたので例にしてみました。
5remp.jpg



 3&4拍目は割愛しておりますのでご容赦いただきたいのですが(笑)、譜例1拍目のスネアはゴースト・ノートですので「×」印となっております。「F」と表記しているのは譜例中にも示しておりますが、ハットのフットペダルの事です。こういう手順で刻むと5連符のなまくら感としての演奏が判りやすいのではないかと思います。2拍目の5連符4つ目のキックの音が強調されない様に演奏するのがコツですが、符割を意識するがあまり音がデカくなりがちかもしれないので注意が必要ですね(笑)。


 5連符でもこうした細分化方面、つまり5連符のひとつひとつの音の拍の位置を意識するというのはかなり難しいかもしれませんが、2拍5連が2拍目の拍頭を横切る時、四分音符を頭の中で刻み乍ら2拍5連を刻むことができる人は相当な熟練者であると思いますが、そうした感覚を呼び込んでくれそうなのが1拍5連の習得なのです。つまり、近しい所に8分裏があるので、掴みやすくなるかな、と。トニー・ウィリアムスや東原力哉は8分でハットのフットペダル刻んで3連や6連叩いたりしたりしますね。こうした感覚に近いモノとでも言いますか。

TOCHIKA.jpg 2拍5連の良い見本となると、渡辺香津美の「TO CHI KA」収録の「Liquid Fingers」におけるギター・ソロの終盤部分ですね。スティーヴ・ジョーダンとマーカス・ミラー全盛期のリズム隊が似合う名盤のひとつですね。私はこのアルバム収録の「Black Canal」のマーカスの演奏は、マーカスのベストプレイのベスト10の1曲です。

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