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Weather In My Head/ドナルド・フェイゲン「Sunken Condos」考察 [スティーリー・ダン]

 4曲目「Weather In My Head」は、今作中で最もイナタいオーセンティックな路線で、それこそ嘗てのベッカー&フェイゲン、ジェフ・バクスター在籍時の初期SDを彷彿とさせる様な曲。でも2012年という現在、時代が時代だけに音は少々こなれているので、ベッカー&フェイゲンの時代から少し進んで、嘗てのSDのアルバム「幻想の摩天楼」の作りをも思い出してしまいます。とはいえ「幻想の摩天楼」だってもう35年程経過するのでありますが(笑)、当時の音というのは現在の方法論のひとつでもあるので、音のキャラクターが古かろうとも方法論そのものが古いのではなく、寧ろ現在のシステムにおいて古さを演出していくという事の維持の方が難しかったりもするのではないかと感じることしきり。


royalscam.jpg 「幻想の摩天楼」で言うならば「Don't Take Me Alive」に近い位置付けで聴く事ができるのが「Weather In My Head」かなーと思います。

 私はどことなくこの曲の醸し出す雰囲気に「Brain Tap Shuffle」や「Don't Let Me In」を重ねてしまいました。それ位、初期のサウンドを感じさせてくれる音なのです。でも、ベッカー&フェイゲン時代の作品ってテープスピードが相当違うので、声質がかなり変わって聴こえてしまい、その後サンプラーに取り込んでフェイゲンの声質を分析し乍ら元のキーを判別したりした事もありましたが、初めて聴いた曲のキーの印象が強烈で、本人達の声が変わろうとも曲のキーは一度憶えてしまうと私はこびりついてしまう方なので中々払拭できずにそのまんま酷いテープスピードでのキーにて習得してしまっている所があります。

 ハナシは脱線してしまいますが、私が友人らとカラオケに行ったりすると、自分が唄う時、原曲のキーが違って再生されてしまうと途端に機械の方のピッチを修正しないと唄えなくなってしまうので、私の感覚としては「よくピッチ移調して感情移入して唄えるモノだ」と感心してしまう事しきりです。気心知れた連中同士のカラオケならば人が唄っている時の唄のピッチの違いですら機械の方を私は勝手に直してしまいます(笑)。他の連中は直しても頓着しないので追従出来るタイプなので助かります(笑)。横から「まーたピッチ弄ってるよ!」とか横槍入ってますけどね(笑)。

 ウーリッツァーとホーン・アレンジが好きですね。和声的な方のヒネりは少ないですが、古くからのSDファンはかなり納得のデキなんじゃないですかね、この音は。40年近い昔の音ですね。こういう70年代中期を感じさせる所が仄かにノスタルジーを演出しているんでしょうなー。この曲、個人的にはリック・デリンジャーに弾いてもらいたかったです!


 イントロや曲中盤のブリッジに用いているコード進行がこの曲のSDっぽさを演出している部分だと思いますが、SDっぽいのはイントロで用いたコード進行を他のシーンで引用する事は結構少なかったりするんですが、ディーコン・ブルースやジョージーでは使って来たりするんですよね。そうした昔のSDっぽさを感じ取るのはこうした用法からも薄々感じ取ってしまうからなのかもしれません。

 コード進行そのものは、GM9 (on A) -> F#m7 (on E) -> GM7 -> F#m7 -> GM9 (#11) -> F#m7という具合に大局的にはGM7系とF#m7系の行き交いであるものの、オン・コードを忍ばせ乍らのモノなので結構入り乱れた感があるかのようなサウンドに変容しています。ド頭は2ndベースで次は7thベース、その次にコードの本質を表しておいて「GM9(#11)」に行く所が心憎いですね。

 私がこの曲を聴いて心地良さを覚えるのは、ウーリやホーン・アレンジもさる事乍ら、ハットの音像が近くてフォーカスがビシッと定まっている所に「Home At Last」のバーナード・パーディーのハットの音を重ねてしまう心地良さがあるんですな。ハットの「コシ」というのは210Hz辺りがキモだと思うのですが、ここのQ幅が太すぎるとジェフ・ベックの「蒼き風」のイントロのヤン・ハマーのドラムの様に少々ファットなハットの音にもなったりするんですが、やたらと高域を強調すると仰々しくなってしまうのも事実。スティックのチップのコツコツ当たる感じを残し乍ら音を探るのは結構難しいポイントだったりします。特に200Hz辺りになるとほんの数ヘルツでも音の捉える所がまるっきり違って来るほどEQポイントとしては丁寧に扱わざるを得なくなってくる部分なので、結構コダワリが見えて来るのがハットひとつにもよ~く現れております。

 まあ言い換えるなら2500Hzと2510Hzなんて全然大した差ではないけれど、200Hzと210Hzなんて同じ10Hzの差でも全然違うのは、楽音の在り方って曲線がリニアには捉えていないから低い方の周波数幅と高い方の周波数幅は全く異なるモノなんですね。ハープの弦長がリニアではないカーブに収まるのもそうした特性から来るモノですね。

 「ハットの太さ」というのは、クローズドの時にトップとボトムで塞がっている時の中の空気の膨張感を認識する事があるんですが、この音というのは170~220Hz位に推移している事が多いモノで、この帯域の両端を深淵だとするならばポイントとすべき中心周波数は自ずと大体の位置が決まって来ます。その中心周波数からのQ幅が広過ぎると膨張感が更に演出されてしまうし、逆に細過ぎると音程感が出過ぎてしまったりもして特にゲインを稼いでしまった時には如実に音程感が表れ位相も変化してくるのでフォーカスが小火けます。

 私の場合90Hzくらいにはハットに少し急峻なHPF入れて先のポイントを弄ったりします。スネアの音を拾いすぎる時のハットは高域を返って弄らない方が功を奏したりもします。いずれにしてもハットの音像が定まらない時というのは概ねスネアやオーバーヘッドとの位相が揃っていなかったりするのが一因だったりします。というか、なんでこういうミキシングの方に話題が振れているのか!?というと、コードの類ではそれほど多くを語る事が無いからです(笑)。


 BTW、「Don't Take Me Alive」の空耳もついでに披露してしまいますが(笑)、原曲1分33秒からの部分を。


 「誰? ケーキ来たの!?お前?」
 「開く方だ、拾わない!」
 「現在クロ。妻よ、マイお面だ!」
 「誰、ゴーンのケーキ依頼?」

 というワケで、次回は楽理的にも「初めて知る事ができた!」と思って頂ける様な内容を繰り広げますのでお楽しみに!

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